内視鏡検査

上部内視鏡検査(胃カメラ)について

胃カメラとは

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、食道や胃、十二指腸の内部を観察するための検査です。
内視鏡を口または鼻から挿入し、消化管の内側をリアルタイムで映像として確認でき、必要な場合は組織の一部を採取することができます。
検査時間は約6~10分です。

当院の検査の特徴

  1. 苦痛の少ない検査
    直径6ミリ弱の比較的やわらかいスコープで、鼻から行っております。舌の上を通らないので、「おえっ」とくる嘔吐感が少なく、画面を見ながら、会話しながらの検査も可能です。
  2. 場合により鎮静剤や鎮痛剤を使用しなくても検査可能
    鎮静剤(眠くなるお薬)や鎮痛剤(不安や苦痛を軽減するお薬)を使用しなくても検査可能なことが多く、検査が終了した後はすぐに帰ることができます。もちろん感じ方には個人差があるので、ご希望に応じて鎮静剤や鎮痛剤を使用し、より楽に検査を受けていただくことも可能です。
  3. 高精度な内視鏡機器を導入
    FUJINON社の高精度な内視鏡を使用しており、経鼻内視鏡ですが画像は高精細です。小さな病変も見逃さない精密な検査をこころがけております。

胃カメラで診断できる主な疾患

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜がただれ、深い傷(潰瘍)ができる病気です。
みぞおちが痛む、出血による黒色便や貧血などの症状が出ることがあります。
胃カメラ検査で、潰瘍の有無、位置、大きさ、深さを詳しく確認し、出血の有無もチェックします。

胃炎(急性胃炎、慢性胃炎)

胃の粘膜に炎症が起こった状態で、急性胃炎では、胃の痛み・吐き気・食欲不振などが比較的急に現れます。

慢性胃炎では、症状が軽くても、長期間にわたり胃の機能が低下することがあります。
胃カメラで、粘膜の赤み、腫れ、びらん(浅い傷)などを直接確認できます。

【イラスト】食欲不振
食道がん、胃、十二指腸がん

食道、胃、十二指腸に発生するがんを早期発見することができます。
早期のがんはほとんど自覚症状がないため、定期的な胃カメラ検査がとても重要です。
鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)を用いると、のど(咽頭部)や食道の入り口も丁寧に観察でき、初期変化も見逃しにくくなります。

ポリープ

胃にできる良性の腫瘍(ポリープ)です。
ほとんどは心配のないものですが、一部はがんである可能性もあるため、胃カメラで大きさ、形、色調の変化をチェックし、必要に応じて組織検査(生検)を行います。 ポリープの種類によっては、切除をおすすめすることもあります。

逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を傷つける病気です。
胸やけ、のどの違和感、咳が続くなどの症状が出ることがあります。
胃カメラでは、食道粘膜の炎症やただれ、びらんの程度を直接確認し、治療方針を決めます。

【イラスト】逆流性食道炎
ヘリコバクター・ピロリ感染症

ピロリ菌は胃の粘膜に感染し、慢性胃炎・胃潰瘍・胃がんの原因になることが知られています。 胃カメラで特徴的な胃粘膜の変化を観察し、感染が疑われる場合は、検査(血液検査や便検査など)で確定診断を行います。 感染が確認された場合は、除菌治療を行うことで胃がんのリスクを大幅に下げることができます。

アニサキス症

アニサキス症は、魚介類に寄生する「アニサキス」という寄生虫が原因で起こる病気です。 刺身や寿司などの生魚(サバ、アジ、イカ、サンマ、サケ、イワシなど)を食べた数時間後に、みぞおちの痛みや胃痛、吐き気などが現れるのが特徴です。蕁麻疹などのアレルギー症状や、腸閉塞(おなかの張り)を起こすこともあります。 胃カメラでアニサキスを見つけ、その場で取り除くことで治療が可能です。

【イラスト】アニサキス

検査をおすすめする方

  • 胃の不調が続く方
    胃痛、胃もたれ、食欲不振、吐き気、胸焼けなどが続く場合、食道や胃、十二指腸の状態を正確に把握するために胃カメラが有効です。
  • 消化不良や逆流性食道炎の症状がある方
    胃酸が逆流することによる胸焼けやみぞおちの痛み、のどのつかえ感などの症状が頻繁に起こる場合、胃カメラを使って食道や胃の状態を確認できます。
  • 体重減少や黒色の便がある方
    不明な体重減少や黒色の便が続く場合、食道、胃や十二指腸に何らかの異常(がんや出血など)がある可能性があるため、早期発見のために胃カメラを受けることをおすすめします。
  • ご家族に胃がん治療の経験がある方
    血縁者で胃がんを患った方がいる場合、リスクが比較的高いため定期的な胃カメラ検査を受けることが推奨されます。
  • 40歳以上の方
    一般的に40歳を過ぎると、胃や食道に関する病気のリスクが高くなるため、健康診断の一環として胃カメラを受けることをおすすめします。
  • 長期間の鎮痛薬の服用歴がある方
    胃の粘膜に負担がかかるタイプの鎮痛薬(NSAIDsと言われる種類)を長期間服用している方は、胃潰瘍や胃がんのリスクが上がるため、胃カメラでの確認がおすすめされます。

早期発見・早期治療がカギ

胃の病気は、早い段階で見つければ多くが治療可能です。
自覚症状がなくても、定期的な検査で健康管理をしていきましょう。

注意事項

以下に該当する方は事前にお知らせください

  • 急な体調不良、発熱がある方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 他の医療機関に通院中の持病のある方
  • 抜歯や傷の処置などで使用した麻酔薬でアレルギーが出たことがある方

上部内視鏡検査の流れ

1. 検査前診察

胃カメラは事前に診察、予約が必要になります。
お薬手帳をお持ちください。

  • 今後、電話予約やWEB予約も対応予定です。

2. 検査前日

  • 夕食 :午後9時までにおとりください。 (消化の良いものがおすすめです)
  • 水分 : 制限はありませんが、午後9時以降はアルコールをお控えください。

3. 検査当日

  • 朝食 : 朝食はとらずにお越しください。
  • 水分 : 水や白湯は検査予約時間の30分前までお飲みいただけます。
  • お薬 : 心臓病や高血圧、その他欠かせないお薬は、
    • 朝7時までに飲んでください。(医師から指示があります)
    • 糖尿病の薬やインスリン注射は低血糖を起こす可能性があるため、使用しないでください。
  • 喫煙される方:タバコは吸わないでください。

4. 受診してから

受診してから 検査の15分前までに来院してください。 お着替えの必要は基本的にはありませんが、検査を楽に受けていただくため、下記の服装での来院やアクセサリーの装着はお控えください。

  • 首元が詰まっている服
  • 肘上まで袖があがらない服
  • お腹が締め付けられる服装

5. 検査

のどや鼻の麻酔を行い、検査中の不快感を軽減します。
ご希望の方は鎮静剤(ウトウト眠る)や鎮痛剤(苦痛を大幅に緩和)を使用可能です。
検査時間は6~10分です。

【イラスト】経口胃内視鏡検査

6. 検査後

鎮静剤や鎮痛剤を使用した場合は、半個室のリカバリールームで1時間ほどお休みいただきます。 使用しなかった場合は、結果説明、ご精算後すぐにお帰りいただけます。 飲水・食事は検査終了1時間後から可能です。

  • 組織検査をした場合、食事は2時間後から、消化のよいもの(刺激物を避けて)をお取りください。

7. 結果説明

画像を見ながら丁寧に結果説明を行います。 組織検査やピロリ菌検査を行った場合は、1週間後以降に再度結果をご説明します。

下部内視鏡検査(大腸カメラ)について

大腸カメラとは

肛門から細いカメラを挿入し、大腸全体(盲腸~直腸と言われる部分です)を観察する検査です。
ポリープや炎症、がんなどを早期に発見するために有効で、必要に応じてその場で組織検査やポリープ切除も行えます。
検査時間は約15~25分です。

【画像】内視鏡カメラを持つ医師

当院の検査の特徴

  1. 苦痛の少ない検査
    経験豊富な内視鏡専門医が検査を行います。
    浸水法という、腸への負担が少ない方法でカメラを挿入し、おなかの張りにくい炭酸ガスを使用しながら観察を行っています。
    基本的には鎮静剤や鎮痛剤を併用し、ウトウトと眠っている間に検査を行います。
    検査中の不快感や痛みがほとんどなく、リラックスして受けていただけます。
  2. 精度の高い内視鏡機器を導入
    FUJINON社の内視鏡を使用し、ポリープや炎症、がんの早期発見に努めています。
    小さな病変も見逃さない精密な検査をこころがけております。
  3. 日帰りポリープ切除にも対応
    検査中に見つかったポリープは、サイズに応じてその場で切除することが可能です。
    お食事の注意点はありますが、入院の必要がなく、検査当日にご帰宅いただけます。
    ※大きいサイズの病変は、安全性の観点から連携医療機関での切除をおすすめすることがあります

大腸カメラで診断できる主な疾患

大腸がん

大腸にできるがんで、初期段階ではほとんど症状が出ないのが特徴です。
内視鏡検査を行うことで、早期発見・早期治療が可能になります。

大腸ポリープ

大腸の粘膜にできる小さないぼ状の隆起です。
多くは良性ですが、なかには時間の経過とともにがん化するタイプもあります。
大腸カメラ検査中に発見されたポリープは、その場で切除できる場合もあり、ポリープの段階で発見・切除することで、大腸がんの予防にもつながります。

【イラスト】ポリープ切除
過敏性腸症候群(IBS)

内視鏡検査で明らかな異常が見つからないのに便秘や下痢、お腹の張り、腹痛などが繰り返し起こる病気です。
ストレスや生活習慣が関与していることもあります。
安心して治療を進めるためにも、大腸カメラで他の病気がないことをしっかり確認することが大切です。

潰瘍性大腸炎・クローン病

腸に慢性的な炎症を引き起こす炎症性腸疾患(IBD)の一種です。

  • 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍を生じ、血便や下痢、腹痛を伴います。
  • クローン病は、口から肛門まで消化管のどこにでも炎症を起こし、慢性的な腹痛や下痢、体重減少などが見られます。
    若い世代でもよくみられ、早期診断と専門的な治療管理が必要です。
大腸憩室症

大腸の壁が外側にふくらんで、小さな袋(憩室)を作る病気です。
多くは無症状ですが、憩室炎(激しい腹痛や発熱)という炎症や大量出血を引き起こすことがあります。
大腸カメラで憩室の存在や、炎症の有無を確認します。

感染性腸炎

細菌やウイルスに感染して起こる腸の炎症です。
急な下痢、腹痛、発熱、血便などの症状が現れます。
通常は自然に回復しますが、症状が重い・長引く場合には、大腸カメラで腸の炎症の広がりや重症度を確認し、適切な治療を行います。

【イラスト】ノロウイルスによる感染・空気感染 

検査をおすすめする方

  • 便に血が混じっている方・便潜血検査で陽性の方
    便自体に目に見えて血が混ざっている方、健康診断で「便潜血陽性」と言われた方は、ポリープやがんのサインである可能性があります。
    早めの精密検査をおすすめします。
  • 長期間おなかの調子が悪い方
    便秘と下痢をくり返す、腹痛が続く、ガスやお腹の張りがつらい…
    そんな症状がある方は、大腸に病気が隠れていることもあります。
    大腸カメラを行うことで症状の改善につながる可能性があります。
  • 40歳以上で一度も大腸検査を受けたことがない方
    大腸がんやポリープは40代以降に増えてくる病気です。
    症状がなくても、早期発見・予防のために定期的な検査をおすすめします。
  • ご家族に大腸がんやポリープ治療の経験がある方
    遺伝的に大腸の病気のリスクが高いことがあります。
    予防のための検査としてご相談ください。
  • 健康意識の高い方・定期的な検診をお考えの方
    「今のうちに安心しておきたい」「定期的に体の状態を確認したい」という方にも、大腸カメラはとても有効です。

症状が軽くても検査は大切

大腸の病気は、症状がはっきり出ないことも多く、油断できません。
早めの検査で、大きな病気を未然に防ぎましょう。

注意事項

以下に該当する方は事前にお知らせください

  • 急な体調不良、発熱がある方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 他の医療機関に通院中の持病のある方
  • 抜歯や傷の処置などで使用した麻酔薬でアレルギーが出たことがある方
  • 以下のご病気をお持ちの方
    • 緑内障(眼圧が高い)
    • 心筋梗塞や狭心症、不整脈(心房細動など)
    • 前立腺肥大(尿が出にくい)
    • 糖尿病

下部内視鏡検査の流れ

1. 検査前診察

大腸カメラは事前に診察、予約が必要になります。
便秘がちの方は、検査前の下剤で腹痛や腸閉塞をおこすことがあり、調整が必要になることがあるためです。
お薬手帳をお持ちください。

  • 今後、電話予約やWEB予約も対応予定です。

2. 検査前日

  • 寝る前に錠剤または液体タイプの下剤を指示された用量内服してください。
  • 食事: 検査食を21時までに食べてください。(それ以降は水分のみとなります)
    ※前々日より繊維の多い野菜・ 海藻類 ・ キノコ類などはお控えください。
  • 水分 : 水、お茶、スポーツドリンクなどを十分にとってください。
    午後9時以降はアルコールをお控えください。

3. 検査当日

検査4時間前から腸管洗浄液を2時間程度でお飲みください。
腹痛や気分不快、便が全く出ないなどの症状がある方はご連絡ください。

詳しい飲み方はこちら
  • 食事:食事はとらずにお越しください。
  • 水分 : 水、お茶、スポーツドリンクは検直前までお飲みいただけます。
  • お薬 : 心臓病や高血圧、その他欠かせないお薬は、
    • 朝7時までに飲んでください。(医師から指示があります)
    • 糖尿病の薬やインスリン注射は低血糖を起こす可能性があるため使用しないでください
  • 喫煙される方:タバコは吸わないでください。

4. 受診してから

検査の20分前までに来院してください。
便の状態を確認し、検査着に着替えていただきます。
鎮静剤や鎮痛剤を使用する場合、当日は車やバイク、自転車での来院はお控えください。

5. 検査

鎮静剤や鎮痛剤を投与し、検査を開始します。
検査の所要時間は15~25分程度です。

  • 鎮静剤や鎮痛剤が不要な方は事前にお伝えください。
【イラスト】大腸カメラを受ける男性と医師

6. 検査後

半個室のリカバリールームで1時間ほどお休みいただきます。
飲水・食事は検査直後から可能です。
(組織検査を行った場合、当日はアルコールや辛い物はお控えください)

  • ポリープ切除を行ったあとの食事は調整が必要となります

お着換え、結果説明、ご精算後にお帰りいただけます。

7. 結果説明

画像を見ながら丁寧に結果説明を行います。
組織検査やポリープ切除を行った場合は1週間後以降に再度結果をご説明します。


検査費用

消化管内視鏡検査や、内視鏡治療(ポリープ切除など)は、通常の診療と異なり高額となります。お支払いいただく料金は、健康保険の負担割合や、行った検査、治療内容により大きく異なります。
例えば、通常の内視鏡検査に加え、生検(何か病変があった場合に、組織をつまみ、良性か悪性かを顕微鏡で判断する検査)や、大腸のポリープを切除する治療を行った場合は、その部位や個数に応じて料金が加算(保険診療で、全国どこでも同じ料金です)されます。

窓口でお支払いいただく料金の概算は以下の表をご参照ください。

注意事項

現金のみでのお支払いとなります。
お手数ですが、当日ご準備のほどよろしくお願いいたします。

  • 今後、各種キャッシュレス決済に対応予定です

胃内視鏡検査(胃カメラ)

保険:1割負担保険:3割負担
内視鏡検査(観察のみ)約2,000円約5,000円
内視鏡検査+生検約3,000~5,000円約9,000~15,000円

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

保険:1割負担保険:3割負担
内視鏡検査(観察のみ)約2,500円約7,500円
内視鏡検査+生検約3,000~5,000円約9,000~15,000円
内視鏡検査+ポリープ切除約7,000~10,000円約20,000~30,000円